写真・アナログからデジタルへの大波(3/3)

余談:SES/ESSに在籍したものとしてのエピソード

2000年前後には例年 Advancing Digital Photography Forum というイベントが開かれていた。1998年秋、このイベント内で "Standards - growing the business" と称するパネルディスカッションが企画され、パネリストとして呼ばれた。2時間のパネルに出席するためだけに1泊3日のとんぼ返り出張。 この出張ではサンノゼ空港の小さな国際便のターミナルビルを出ようとしたところで、アジアからの便を降りてきた単身の客がショルダーバッグ一つというあまりの身軽さを怪しまれ、いきなり警官に呼び止められたりして思い出深い。

パネルメンバーは残っているメモによると Canon: Kadosawa, Tsuneaki、Storm Technology: Starreveld, Dolf、Hewlett-Packard: Lynch, George、NTT: Takagawa, Yuichiro、Creative Images: Iseli, Carlの5名。赤外線通信(IrDA)の伝道師として業界では有名だったNTTの高川さんは機器間通信について、私は主として画像ファイルフォーマットと記録媒体の動向についての話。担当分野は違うが、私以外にも日本からのパネリストがいたことは随分励みになり、沈黙の存在になることもなく、無事にパネリストの役割をこなせた。

ネイティブだらけの会場の壇上。話しの内容は自分の専門分野の事とはいえその場でなにをどう話したか降壇した直後にはすでに真っ白なくらいの緊張であった。今思い返せば懐かしい。

デジタルはサンプリング時のサンプリング誤差を許容すれば、記録データの劣化がないこと、データの圧縮が容易であることが圧倒的にアナログに勝り、ネッ トワークとの親和性も良い。このことから画像密度が既存のアナログ形式を凌駕した時点で直ちにデジタル化することは目に見えていたが、上述してきたようにセンサーや信号処理回路、記録媒体、ディスプレイ、ネットワーク、それぞれの進歩が相俟って、これほど短時間に銀塩写真を凌駕したとは驚きである。

そしてこの技術の黎明から転換までが丁度自分の会社員生活のスパンで起きたことへの幸せ(仕合わせ)を感じる。




プロフィール
氏名:角沢 常明 (かどさわ つねあき)
入学年度・学部:1969年入学 工学部写真工学科
WebPage 「カドさんの蕎麦喰歩記」
http://www.asahi-net.or.jp/~bf3t-kdsw/soba.html


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コメント: 1
  • #1

    高川雄一郎 (火曜日, 06 6月 2023 00:28)

    懐かしいお話を有難うございます.
    当時を思い出しておりました.

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