1967年入学 山本利枝
入学したての私が無謀にもお引き受けしたのがドラマ出演でした。確かにドラマセクションに所属はしておりましたが、大学祭で演じるドラマのキャストでステージに立つことになるとは夢にも思いませんでした。それも三重苦を背負う兄を殺害してしまう幼い妹の役です。5月の「私とSES」の筆者岡田富夫さんたち2年生のご指導でドラマ「シスターズ、トラジディ」に出演させていただいたのです。60周年記念誌に当時の写真を乗せていただいており、懐かしい限りです。大変長いセリフがあり、最初は結構大変でしたが覚えてしまうといとも簡単に自分の口からなめらかな英語が出てくるのを他人事のように驚いている自分がいたことを思い出します。
次の年はディベートセクションでした。安保賛成反対をグループに分かれてディベーティングした記憶があります。今考えても、自分が本当に論じていたのだろうかと不思議な気がします。ドラマの出演もディベート大会も若さ故の猪突猛進であったように思います。
小学校の教員になり37年間、その後5年間は足立区の非常勤職員計43年間ほとんど英語から離れて生きてきました。その私が現在、英語を毎日読まずには生活できない研究生活に入っていることに自分でもまたびっくりです。後期博士課程の試験は英文の論文を読み解くことが全てです。辞書の持ち込みは可能ですが、必須問題と選択問題の全ての英文を90分で全問答えるには辞書を引いている時間はありません。受験準備の1年間で自分の専門領域の論文の単語は3万語ほど辞書を引き続けました。ハードな時間との戦いの日々でしたが、なんだかとても楽しかった気がします。
今の専門、小児発達学を活かして子どもたちの未来に役立つ予防教育プログラムを形にして残していくのが私の最後の仕事になろうかと思います。子どものメンタルヘルスを守りたい一念で認知行動療法に基づくオーストラリア、メルボルン大学教授ベルナード先生のプログラムYou Can Do
Itを翻訳いたしました。今後は日本の子どもに紹介・実践してその効果を検証してまいります。必ずや今起きている様々な子どもの問題への予防に明るい光を差し込んでいくものと信じております。何しろすでに世界16か国で翻訳され、その効果が実証されているプログラムだからです。
現在の仕事にたどり着いたすべての道はSESの先輩諸氏にいただきました。SESなくして 今の私はありません。英友会として現在も先輩と現役の方々が交流できることに、心よりお礼を申し上げて筆をおきます。
プロファイル
山本利枝(やまもととしえ)
1967年千葉大学入学 教育学部
5月の「私とSES」の筆者岡田富夫さんらの指導でドラマ「シスターズ、トラジディ」に出演。
1971年卒業足立区・荒川区・足立区と37年間教職につく。
2007年現職で臨床発達心理士取得
2008年より5年間足立区教育相談センター非常勤職員
2014年大阪大学大学院連合小児発達学研究科(千葉校)研究生
2015年大阪大学大学院連合小児発達学研究科(千葉校)後期博士課程在籍現在に至る。
名前はペンネームでも構いません。
コメントをお書きください