冨澤 美貴 1983年入学
IT業界では、かつて(1990年代の西海岸のシリコンバレー全盛期)ほど影響は大きくありませんが、今なおMicrosoft、Apple、Googleなどの米国企業が中心です。技術標準も英語で定められ、マーケット向けの新たなBuzzword(明確に定義・具体性のない用語)も毎年生まれています。そんな業界での定番の技術英語ネタをいくつか紹介します。
MasterとSlave
IT業界では「コマンド」という文字列によるコンピュータ操作を行います。
コマンドは英語を元にしており、元の単語の意味を抽象化して本来の意味と多少異なる使い方をする場合もあります。
Master/Slave:複数のプログラムや機器の間で主従関係がある場合、主をMaster、従をSlaveと呼びます。「Masterじゃないから死んでも問題ない」といった、通常の文脈では物騒な言い回しもよくします。
Default:規定値のことを言います。経済用語では「債務不履行」です。
AliceとBob
IT業界では2者間の通信(特に暗号化通信)技術の解説でこの2人の名前が使われます。(数学や物理でも2者の関係で使われるようです)
何故この名前か? というと非常に単純で、「A(=Alice)からB(=Bob)への通信」という具合に、アルファベット順です
では第三者はどうなるかというと、Carol、CarlosまたはCharlie、4人目はDanまたはDaveという具合であり、それ以降の名前の頭文字は暗号化技術用語の頭文字から名付けています。
Eveはeavesdropper(盗聴者)、FaytheはFaithful(信頼できる)第三者またはサービス、MalletまたはMalloryはmalicious attacker(悪意ある攻撃者)という具合です。技術用語ベースであるため、技術を理解する助けになっています。
アルファベット入力によるPC操作
このような単語から1つ文字を選ぶ方式は、Windows OSのショートカットでも使われています。例えばCtrl+CのCut(切り取り)、Ctrl+PのPaste(貼り付け)です。
日本語にローカライズしたWindowsソフトウェアには画面に英文字が表示されていることをご存知でしょうか。Internet Explorerの場合、メニューバー(Altキーを押すと表示)には「ファイル(F)…」とあります。英語版Windows OSでは、アンダーバーで文字が示されます。「File、Edit、View、Favorite、Tools、Help」、Firefoxであれば「File、Edit、View、History、Bookmarks、Tools、Help」という具合です。(Windows 8系では白抜き文字表示されます)
Windowsのデザイン・操作体系(Look and feel)は統一されているため、Officeソフトウェアでもオプション設定の画面でも英文字が表示されます。「英語版ではその文字を使ってどんな英語表記しているか」予想するのも面白いかもしれません。
長い単語の省略
ショートカットのよう1文字でありませんが、省略の最たるものに単語の省略表記があります。
i18n:internationalization(iとnの間に18文字あるため)
l10n:localization
m17n:multilingualization
g11n:globalization
これは「1文字だけでなんとかしたい、操作や記載を簡単にしたい」という怠惰な(よく言えば効率化志向の)技術者の気質によるものです。
プロフィール
氏名:冨澤 美貴(とみさわ よしたか)
入学年・学部:1983年入学 理学部
1987年 日本ユニバック入社、翌年合併で社名変更
2004年 ユニアデックスに転籍
卒業後も2000年に大阪転勤となるまで現役活動を見に行くこと多数。
名前はペンネームでも構いません。
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