楢戸健次郎 1965年入学
1.“Know your own limits” 、自分自身を知れ。
海外医療、国際保健に携わる人の必読書の一つに、David Werner著「Where there is no doctor」がある。この本の総論の部分に保健ボランティアに必要な8つの態度が書かれている。まず1番目は「Be kind」、4番目は「Know your own limits」である。
ここ数年、年間50人を超す学生がネパールに見学研修に来て我が家に泊まっていく。
多くは医学生、看護学生だが中には文化人類学、社会学、政治学などの学生もいる。私は学生に、必ずと言っていいほどこの本を紹介し、この「Know your own limits」の話をする。「自分の限界を知る。自分が何を知っていて、何を知らないか。自分はどこまではできて、どこからはできないか。これは医療の世界では大切だ。この患者さんにどこまでできるか。ここからは知らない。できない。その場合どの人に聞き、どの人に頼めばよいか。そのことを知っている必要がある。そして、これは医療に限らず、どの分野でも必要で大切なことだと思う。自分が知っていることの限界を知る。ひいては、自分が知らないということを知る。知らなければ学び、人に聞く。知っていると思うとそれ以上調べようともせず、他人に聞こうともしない。ネパールに来て、いかに自分が知らないことが多いかに気づいたと思う。海外に来ることの意味の一つは、今までの自分を、生き方を見つめなおすこと。また、自分の今までの知識がいかに限定的か、いかに自分は知らないかを知らされることだと思う。そのことを自覚すると人は学び続ける。」
プロフィール
氏名:楢戸健次郎(ならとけんじろう)
入学年・学部:1965年入 学 医学部
大学卒業後地域医療をめざし、家庭医の研修を受け、北海道で病院勤務後に診療所開設。2005年から日本キリスト教海外医療協力会から派遣されネパールで医療活動。
現在ネパール在住 医療活動中
NGO「クロス」ネパール代表
名前はペンネームでも構いません。
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