インドネシア留学記 (11月報告)

吉谷真子 2012年入学

11月の目標

・インドネシア語の学習。日本の中学校英語の表現まで話せるようにする。

・アイディアを形にして評価をもらう。(10月の目標の延長)。インドネシアにある社会問題のリストアップ(50個)、インドネシア政府の政策研究、自分に考えられる政策をまとめアドバイスをもらう(5つ、5人以上からアドバイス)

 

■目標の達成度

・「中学校英語の表現まで」、という目標設定が曖昧でしたが、インドネシア語会話の初級のテキストを1冊学び終えました。買い物・ビザの手続き・道を聞くなどには困らない程度になりました。語彙、文法の受動態やリスニングを強化することが課題です。

・インドネシアにある社会の課題を、環境問題、保健衛生、汚職、教育、地域格差、貧困、エネルギー、労働などに分けてリストアップし、友人と話し合いました。それぞれの授業に関連することをクラスの友達に聞いたため、ある程度関心を持った人と議論ができてよかった。インドネシア政府の政策研究は、2014年から始まった保健医療システムを取り上げてレポートにまとめた。

 

■考えたこと

インドネシアにある社会の問題についての私の所見をインドネシア人に話すと、私が問題として挙げているものをそもそも問題として捉えていない、あるいは他にも多く山積する問題の中では優先度が低いと言わることがありました。例えば、デポック(ジャカルタの南隣、大学のある町)は歩行者に優しくない、道路に穴が開いていて側溝に落ちそうになって危ない、自動車・バイクの排気ガスやプラスチックや生ごみを道端で燃やすため空気が汚い(特定はできませんが風邪でもないのにずっと喉がイガイガします)、道端のゴミ捨て場から汚臭がする・・・と言うと、確かにインフラは整えるべきだけれどそもそもみんな歩かないからね(1kmで晴れていてもAngkotという乗り合いバスに乗ります、運賃25円くらいです)、空気はジャカルタと比べればそんなに汚くないんじゃないかな、マスクすれば大丈夫!という感じです。

また改善策を提案すると「人口が多いからそれは無理だね、統括しようにもしきれないよ」と言われることもあり、外国人(私)と邦人の認識の違いを感じました。この「人口が多すぎるからどうしようもないね()」というコメントは学生だけでなく教授陣もよくいっていることで、私は当初は「多いから何もしないのでは何も変わらないじゃないか」と憤っていたが、最近は、憤っても何も始まらないことに気付き、どんなことをすれば彼らに改善のインセンティブが働くかを考えるようになりました。例えば、ゴミのポイ捨てに罰金を定めるのは(人口の多いインドネシアでは特に)コストが嵩みます。そこで、ドイツのビンの回収システムのように(繰り返し使えるビンを使って、空き瓶を返却するとお金が戻ってくる→ポイ捨てをすると得られるお金を失うのでちゃんと決められた場所に戻す)したら良いかもしれないな、という感じです。人はどんなふうに行動選択をするのか、というところにも興味が出てきています。(人の行動原理を知ろうとしないと、政策も商品も作れないなということを改めて感じました。)

 

■勉学の状況

Indonesian Economy

今月は、インドネシアの金融政策・財政政策・第一次産業・第二次産業・第三次産業について学びました。情けない話ですが、金融政策・経済政策を扱った際、既に学んだはずの経済学が理解しきれていないことに気付き、マクロ経済学とミクロ経済学の本を読んで復習しています。また、現在「インドネシアの保健衛生問題と健康保険システム」という題でレポートを書いています。

Public Sector Economy

愚痴になってしまいますが、ホワイトボードの文字が見にくく、授業が理解しづらいです。ほぼ毎回、授業後に先生に質問をしています。(見えなくて分からないところと、仕組みが理解できていないところ。)先生が政府の政策のアドバイザーをしているため、仕事が入って授業がその日に無くなったり、2時間遅れで始まり30分しか授業がないなんてこともざらです。仕方ないような気もしますが、他の学生がどのようにモチベーションを保っているのか気になります。そんな時にはテキストを読んで勉強の時間に充てています。こちらで仲良くなった留学生(日本人)に自分の勉強を授業だけでしようと思っていたら間違いだ、と言われ、(授業に頼っていたことに反省し、)環境が多少悪くても、学びたいなら自分で学べばよいと開き直って勉強しています。(だからといって環境改善を求めないのは嫌なので、学期末に窓口に相談しようと思います。)

Development Economics

経済成長理論、不平等、人口移動について学びました。この授業では、学生との問答を通して、要素と要素を関連づけて、先生が「何が経済発展、一人一人の生活改善、環境改善につながるか」・「どんなことがどのように問題へと発展していくか」を説明していきます。テキストに載っている開発経済学のモデルは授業の説明で理解できず、テキストを読み直し、他の学生に聞いて学んでいます。私はモデル・理論を理解するのが人より時間がかかるようです。具体事例を自分で考えて当てはめ、それがあっているか人に確認してもらっています。

Human Resources and Labor Economics

労働供給、人口移動、失業、教育投資、就労における差別を学びました。この授業の先生は、具体例を用いてモデルを説明してくれるので、分かりやすいです。課題が3回に1回ほど出されるので、そこでモデルが理解できているか確かめられます。(モデルを自分で使おうとすると、思ったより理解できていないことが分かります(汗)。そこでまたテキストを読み、それでも分からないときはネットで調べ、と繰り返します。)人口移動については、農村部の余剰労働力が都市に流れ、その人たちは不法占拠をして住みつきインフォーマルセクターで働く、という現象を、インドネシアのジャカルタの都市下層民の暮らしを聞いて学びました。

 

■課外活動

・カンポン(都市人口過密地域)の訪問

千葉大学で建築学を専攻している大学院生が、ジャカルタの人口過密地域で研究をしているので、そこに二回お邪魔しました。インドネシアに来る前は、都市下層民の住む地域というと、本当に生活に窮しているというイメージが強かったのですが、予想していたのとは違って、その中に自主的に補習塾をする寺子屋の先生のような人がいたり、地域の環境(道路・下水道整備・洪水対策など)改善に住民が組織を作って取り組んでいたり、町がみんなでみんなを助け合っている雰囲気でした。寺子屋さんの先生になぜこんな活動を行っているか聞くと、「次の世代に役に立つなら、こんなにうれしいことはない」と言っていました。お金でも知識でも持つものが持たないものに施すのは当たり前、というイスラムの考えでもあるようです。以前からインフォーマル教育に興味があったので、こんな活動をしている人に出会えて本当に嬉しいです。12月にも訪問し、その人の地域での役割・その町の課題・政府の新しい保険システムを知っているかなどを聞きに行きたいです。

 

・メダン、ブキッ・ラワン、トバ湖(世界で2番目に大きいカルデラ湖)への旅行

ブキッ・ラワンにて。森に住んでいるオランウータンと会いました。国立公園の入場料は高く、オランウータンに出会えたことへの感動と同時に、観光ってすごい(儲かるのではないか)・・・と思いました。とはいえ環境保全に使われていると思うのですが。途中でたくさんの牛・羊が放牧されていることにも驚きました。

トバ湖で食べたパダン料理。パダン料理はインドネシアで一番おいしいと言う人も多いです。私は魚が大好きなので美味しい焼き魚を食べられて嬉しかったです。ルンダンという牛肉のココナツ煮や野菜の茹でたものもおいしかったです。スマトラ島の料理はやはり辛いものが多かったです。

トバ湖といえば美しい湖を想像するかもしれないのですが、良い写真をとれませんでした。湖のふちにごみが浮いていたのは少し残念でしたが、ジャカルタの港と比べるときれいです。

プロフィール

氏名:吉谷真子(よしたに まこ)

入学年・学部:2012年入学 法経学部

8月現在ESS部長 

8月からインドネシア留学中(20151月迄)

名前はペンネームでも構いません。

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