「機能性フィルム」とは、フィルムに塗布したり(反射防止フィルム等)貼り合わせたり(レトルト製品等)して機能を高めたフィルムの事だが、このフィルムの研究会を14年前にゼロから立ち上げ,様々な人を巻き込んで組織化し、商業化していった筆者の行動力は驚愕に値します。15社から130社以上迄に増えた会の歴史と具体的な発展のプロセスを語っています。・・・・ 編集注
松井孝雄 1963年入学
今から14年前、有志4人が集まり日本の技術を根底から支える一つであるコンバーティング技術(フィルムに塗ったり(反射防止フィルム)、重ね合わせたり(レトルト製品の袋)、貼り合わせたり(粘着テープ)などの技術の総称)において、月刊誌「コンバーテック」(加工技術研究会)はあるが、人の交流がなかった。人が顔を突き合わせて情報交換し共同開発などのきっかけを作れるような場を提供したいという思いで、最初の一年は規約の設定、お互いが迷惑をかけないという誓約書づくり、講演会の形式、会員同士の情報交換のあり方を試行錯誤して、2001年6月に15社で正式に発足させた。松井が北海道に転居後は会長と事務局を兼務して手弁当で東京との往復をした。企業の会議室を借りたり、講演者に無料で講演をいただいたりしていく中で、会員が顧客訪問時に研究会の紹介をしてくれたり、時代の流れ(液晶周辺材料の大ブレイク)にも助けられ、会員も130社を超えるまでになっている。
運営で心がけていることは事務局が黒子に徹することや、交流会が単なる飲み会や、仲良し会にならないように気配りもしてきた。水面下では共同開発などが進んでいるということも耳にするようになってきている。
創立10年目にホームページを立ち上げた。そんな中で自分たちの研究会で執筆して本を出そうという会員の声が出てきた。本の内容や構成について検討する中で独自性を出すため自費出版にすることを決めた。ほぼすべての会員が出資に協力してくれて2013年に「機能性フィルム」1300冊を刊行した。高分子学会の学会誌に熊本大学の國武先生が書評を掲載してくれたのはありがたかった。最近は香港、韓国からの講演依頼なども入るようになり、松井が執筆した「機能性フィルム概論」の英文化に今取り組んでいる。若い会員にいずれ、展示会やセミナーで講演してくれることを期待しながら(なんで今頃英語なんだ)。
コンバーティングも中小企業の海外進出に伴い、国際化が必要になってきている。来年は設立15周年を迎えるのを機に、韓国、中国、東南アジアの企業が参加をしてくる新たな動きに向けて研究会も変わっていかないといけないだろう。次の世代にいい形で託せることが出来れば長年運営に携わってきた自分にとってうれしいことである。又東京との往復を通じて人との交流を広げられ、元気をもらっていることに感謝したい。
プロフィール
氏名:松井孝雄(まついたかお)
入学年・学部:1963年 工学部
卒業後写真フィルム会社を経て日東電工株式会社に就職。退社後も在社当時から続けた機能性フィルムの業界の取りまとめに従事。写真が趣味。
第2期英友会役員、北海道在住
名前はペンネームでも構いません。
コメントをお書きください