春は「あけぼの」-鉄くんの証明

上原 圭介 1981年入学

この春、ひとつの列車がその歴史に幕を閉じました。上野と秋田・青森を繋いだ寝台特急「あけぼの」です。鉄道に特段関心のない方でも、TVのニュースなどで鉄道路線の廃線や列車の引退に多くのフアンが集う光景を目にされたことがあるでしょう。

業界?用語で、このような引退や廃線を追いかける鉄ちゃんを「葬式鉄」と呼びます。

半分趣味の延長から3年前に「鉄道テーマ検定」と云う趣味の検定試験を立ちあげ、本年3月に第3回を「在来線特急」をテーマに実施しました。その関係で昔のアルバムを見返しているときに、雪まみれの「あけぼの」の写真が目に留まりました。1975年頃に早朝の上野駅で撮影したものです。


子供の頃から鉄道が好きで小学校の高学年になると、土日は早朝から東京駅や上野駅に出かけ、日がな一日次々と到着する列車の写真を撮っていました。当時はデジタルカメラはおろか、まだモノクロフイルムが広く使われており、カラー写真はフィルム代、現像代、プリント代を合わせると1枚あたり60円~70円つき、当時の物価水準からするとかなり高価で、11枚被写体を選んで撮影していました。

今日のように高感度なデジタルカメラがあれば、もっと沢山の貴重な記録を残せたろうと思いますが、高価であるがゆえに1枚1枚のシャッターを切った時のことを、今でも思い出す事ができます。現像から上がってくるまで、どのように撮れているかがわからない、カメラ店でプリントを受け取り、封筒を開くときのドキドキ感と出来上がりに対する一喜一憂も写真を撮る楽しみのひとつだったように思います。

 

去る314日(金)、JRダイヤ改正の前日、東銀座の職場で仕事にひと区切り付け時計を見ると20時過ぎ、今から向かえば「あけぼの」の最終列車が見られると思い立ち、上野駅へと向かいました。入線時刻である2059分の30分ほど前に到着しましたが、13線ホームは既に多くのファンで埋め尽くされ、その中をかき分けて何とか先頭車の停車位置まで辿り着くことができました。やがて推進回送でブールーの客車が入線、瞬殺で売り切れた切符を手に入れた幸運な乗客を乗せ、2116分、EF641031は長い長いホイッスルを鳴らし動き出しました。オハネフのテールライトがホーム端に見えなくなった瞬間、集まったフアンが一斉に漏らした嘆息に、ひとつの想いを共有した小さな感動を覚えました。

プロフィール

氏名:上原 圭介

入学年・学部:1981年入学 法経学部

鉄道が趣味の鉄ちゃんと呼ばれる熱烈な鉄道マニア

名前はペンネームでも構いません。

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